オウムのAlexが死んだ(合掌)

以前から注目していた「天才」オウムのAlexが死んだ。30才だった。
彼は、言葉の話せるオウムだった。オウムがしゃべるというとき
それは人の言葉のような音声を発することができるというに過ぎないが
Alexは明らかに意味を正しく理解して言葉(英語)を話した。

Alexは100以上の単語、50種類のモノの名前、1から6までの数、
大小、上下、異同の区別、7種類の色と5種類の形を
概念として理解できた。

さらに彼は、どうやら「ゼロ」の概念とまではいえないが、
話題になっているモノが「ない」状態を理解し言葉で伝えることができた。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/20050722303.html

そして、眼前にない事柄に関する「文(命題)」を発することができた。
たとえば、「トウモロコシは黄色だ」といった文を現実のトウモロコシを見ずに
正しく発したり理解したりできた。

そしてなにより保護者で研究者のペッパーバーグ女史に対して
何か悲しいことをされたとき自分の気持ちを
”I'm sad”
と言って表現することができた。

チンパンジーのアイもすごいが、異なる種と音声言語でコミュニケーションができる
ということを具体的に示したペッパーバーグ博士の功績は大きい。

その際使われた「モデル・ライバル法」という手法が興味深い。
アレックスにものを教えるのに、わざともう1人学習のライバルの人間を用意し、
そのライバルに対して「これは何ですか」と質問して正しければ大げさに褒め、
間違っていればそのモノを取り上げる。それを見てアレックスは自然にその名前
や言葉を習得していく。自分もペッパーバーグ博士から褒めてもらいたい、
という気持ちにしむけるのである。

この手法自体が、鳥にある種の「競争心」「羨望」や「愛情」といった感情が存在すること
を想定したものだといえる。教育は見事に成功したわけだから、
オウム(正確にはヨウム)にはある種の感情があるということが、
結果として明らかになったともいえるだろう。

この手の実験結果としは非常に興味深いものに思われる。
そしてなによりAlexが実にかわいらしかった。合掌。