三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』三浦祐之『金印偽造事件』

ひさしぶりに小説を読んだ。半年ほど前に読んだ川上弘美いらいである。
『古道具 中野商店』と同じような雰囲気の小説が読みたいなと思い、
三浦しをん芥川賞作家だと勘違いして、本書を手に取ったのであった。
各章ごとに挟まれる下村富美の劇画風イラストの挿絵ですぐ気づけばよかったのだが、
なにか違うと思いつつも結局最後まで読みきってしまった。
けっきょく、普通のハードボイルド風へたれ系町内限定ロードムービー仕様小説であった。
しかし、言葉と比喩の選び方が異常にうまくオンナ村上春樹かといった趣である。
さいごもハッピーエンドなのが意外だったが、多田と行天の凸凹コンビのキャラと言い
便利屋と言う何でもありの設定と言い、安易であることだなぁ、
と思いながら作者の言語世界の術中に敢えてハマル心地よさというものが彼女のうまさなのだろう。
舞台は東京郊外「町田市」であり、あの辺りの土地勘のある人にとっては
また別の楽しみ方ができるかもしれない。アポロンという喫茶店に行きたいとは思わないが。


たまたまではあるが、数日前に、ブックオフで買ってあった


三浦祐之『金印偽造事件 「漢委奴國王」のまぼろし幻冬舎新書


を次に読もう。ということで、今晩の夕食は親子丼にするか。