初詣に上野の東博で等伯を見る

1/3は上野の寛永寺の根本中堂が公開されるというので初詣で。
国立博物館常設展の半券で入場できるのだった。


厨子内に秘仏本尊薬師三尊像が祀られているが、当然それは見れない。
しかし去年東博でみることができた。非常に力強いすばらしい仏像であった。
それがきっかけで今回来てみようと思い立ったのであった。


いまの寛永寺は上野のお山全体を覆い尽くす大伽藍だった往時をしのぶことはできず
徳川に思い入れは無いにもかかわらず、ほんとにショボイその辺のお寺という風情に無常を感じてしまった。上野戦争でほぼ消失し、その後敷地もほとんど新政府に召し上げられわずかに残った跡地というわけである。しかしそのおかげで博物館・美術館・図書館・芸大・動物園といった数々の文化施設がこの地に誕生したわけだからよしとすべきだろう。


東博に戻って、本館2階正面右手角の国宝室に向かう。
前の部屋から近づいていくとすぐに松林が立体的に浮かび上がってきて圧倒される。
狩野派にいじめられながら独自の画風を築き、ある意味で水墨画のもっとも純化された姿ともいえる「松林図屏風」に到達した。グラデーションのすばらしさは水墨画というより抽象絵画を思わせ、時代を超越している。企画展と違い非常に空いていて、静寂の中でためつすがめつ名画を堪能できる機会に感謝。