中国とのつながり3題:中華街,阿片王,日中戦争

○中華街
ひさしぶりに横浜中華街に出かけた。非常に賑わっていた。異常に占い屋が繁盛していた。妻が蒸し料理に使うための「虫かご」ならぬ「蒸籠(せいろ)」を安く調達するために一緒に行ったのだった。昼には台湾料理「青葉」で飲茶,夕食に広東料理「翠鳳」で,となぜか青づくし。翠鳳には『猫日和』にも登場の美猫「クロシマ」くんが飼われており,待ち席でくつろいでいた。値段もリーゾナブルで満足。なぜか時期最後の上海蟹を頼んでしまう。

○阿片王,佐野真一を先週読了
満州において阿片王と呼ばれた里見甫(はじめ)とその周辺の人間を描いて飽かすところが無い満州帝国の闇を追う。60年の歳月は佐野の取材力をもってしても関係者を没させ,情報を闇に解けさせ,闇は終わらない。

NHKハイビジョン特集日中戦争」を録画で見る
南京攻略の際の金澤第9連隊の関係者の生々しい証言が圧巻。
小室直樹の『日本の敗因 歴史は勝つために学ぶ』講談社(2000)p.215
でも指摘していたことだが,攻略部隊の進軍スピードに補給部隊が追いつけず,
食べる物なくフラフラになりながら総攻撃を敢行した。しかたなく食料を入手する目的で金銭を払わずにいわゆる『徴発』を行うようになり,最初は必要悪から行っていた徴発だったが,次第に必要も無く民間人から物品・家財を巻き上げることさえも軍として認めざるを得なくなり,兵隊もそれを行うことが快感・体質となっていき,部隊自体が倫理を失い堕落していったと精神医学専門の軍医によって報告される。南京到着時点では多くの兵はそのような精神状態に陥っていたことを今まで見落としていた。私自身は中国側の南京大虐殺の数十万という数字に与する者ではないが,このような事実を踏まえた検証の必要を感じる。